2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧
「白石くん、私は彼がこのまま我々の手駒として働いてくれるなど、夢にも思っていないよ」 「では、なぜ……」 「順に説明してあげよう。彼女ーーミナくんを完成させるためには、より多くのサンプルたる悪魔寄生体が必要だ。そして、私は完成したミナくんを正…
「なんだ、それは?」 奇妙に思い、朱夜に尋ねる。 「さっき、正人に託された」 そこには動揺もためらいもない、いつもの冷静な朱夜がいた。 「……なんだと?」 「正人はなにかを考えている。反撃のためのなにかを」 「なにかとはなんだ」 「それは分からない…
朱夜も仕方なく悪魔化した。 意識を集中するに従い、一部の皮膚や筋肉が硬質化していく。 形状も変化し、黒色の硬い革鎧を纏ったような姿に。 両方の手首や足首には、刃状の鋭い突起が現れる。 その出で立ちは例えるなら暗殺者。 "神速の暗殺者"の異名を持つ…
「これは失礼、私の名は渡部。簡単に言えば、君たちの敵だ」 「……なるほど。おまえが正人の携帯を使っているということは……」 「そう、残念だが今回は君たちの負けだ」 できることなら、今すぐ携帯を叩き割りたいという衝動が、朱夜を襲った。 だが、思いと…
時刻はすでに真夜中になり、日にちが変わってさえいた。 自宅にて、朱夜は未だこない正人からの連絡を待っていた。 もう十何杯目かになるコーヒーをちびちび口に運び、襲ってくる睡魔に対抗している。 強大な力を振るえる悪魔憑きだが、その力を維持するには…
「白石くんに感謝したまえ。カプセル内の液体濃度は、細胞の活動に合わせて随時調節する必要があってね。ここの機械のどれかでも壊れたら、能力の暴走を止められないのだよ」 渡部は話を聴いているか確かめようと、正人の顔前でおおげさに手を振ってみせた。…
「ミナ……?」 正人がミナに気をとられている間に、赤き魔人から少年の姿に戻っていた。 そのことに気づいていない。 ただただ、目の前の光景が理解できず、立ち尽くしている。 訳もわからず、ただうわごとのように少女の名前を呼んだ。 ミナになにがあったの…
カプセルの中に満たされた液体の中で、一人の少女が浮かんでいた。 愛らしい顔の、その少女は間違いなくミナ。 正人と暮らし、一緒に遊び。 そして、白石の槍から庇って死んだはずの。 ミナという名の少女。 しかし……。 「……」 もはやミナの面影は首までにし…
それだけ言って、ふう、と息を吐き出す。 「ミナはどこにいる?」 「ここにいる。正確には私の後ろに」 不意に天井からの光が、スポットライトのようにカプセルに当てられた。 沈黙。 正人の動きは再び止まり、渡部を凝視したまま視線さえも動かさなくなった…
「だから、それがどうした? てめえが話していいのはミナの居場所と、生きてるか死んでるか……。そして、死んでるんなら生き返らせる方法だ!」 ついに武器の間合いまで近づいた正人は、渡部の語りに神経を尖らせながら、凄んだ。 膨らむだけ膨らんだ殺気は、…
渡部は、巨大カプセルのすぐ前に設けられた机に座っていた。 後ろからのカプセルの光が逆光となって、渡部がかけている眼鏡が爛々と光り、怖いほど気味の悪いシルエットを形成していた。 「きみと少し話したいんだが、いいかね?」 渡部が落ち着いた様子で問…
焦る気持ちを抑えて、赤き魔人が走っていた。 2mを越す巨体に似合わぬ軽やかな音が、周りに反響して異様に響きわたる。 降りた先にあったのは、奥へと至る通路であった。 通路はとても広く、幅は20m、高さは30mを越えている。 なんの必要があって、…
時間は少し遡って、黒桐家。 ハッキングによる援護を終えた朱夜は、突然の部屋の揺れに気づいた。 「この振動は……正人か?」 「おそらくな。」 朱夜の疑問にキューが即答する。 根拠となったのは、揺れの規模と激しさから震源が極端に近いことが推測できたこ…
カツンと固い音を立ててガラスに当たった、直径1cmくらいの球。 さきほどのものより威力は低いが、彼らに馴染みの深い、爆弾だ。 その正体に気づいた職員たちは戦慄、恐怖のあまり体が麻痺してしまう。 動けたのは、予測していた渡部と、反射的に脱出路を起…
渡部にうながされ、眼下のリングに目を向けた白石は信じられないものを見ていた。 対悪魔憑き用強化ドアが壊され、監視役として止めるはずの綾が地面に倒れ伏している。 その側には見慣れぬ赤き魔人がいた。 それが正人だと、すぐに気づく。 たとえ姿が変わ…
その頃、突然の爆発によって、渡部たちがいるモニター室は混乱しきっていた。 「なにを慌てている? 早く爆発箇所の洗い出して映像を出したまえ」 渡部は、混乱する研究員たちの遅々とした対応に業を煮やし、急かすように指示を出した。 しかし、その指示は…
瞬間で猛加速した正人は、文字通り一瞬でリングへの入り口にたどり着いた。 悪魔憑きの力でも破られないように、特別に加工されたドアが正人の行く手を阻んでいる。 ぶつかる直前で急ブレーキをかけるが、一度ついた慣性はその程度では消せない。 このままぶ…
綾へと突進する正人に向けて落とされた稲妻。 しかし、それは当たることはなかった。 けして、稲妻が遅かったわけでも、正人が速かったわけでもない。 そもそも正人はかわしてもいない。 では、なぜ外れたか? それは正人が……突然真後ろに退いたからだ。 「…
「ふふっ、根拠のない話ですね」 「てめえは喧嘩したことねえだろ? それが根拠だよ」 言うが早いか、正人の両腕がみる間に変形していき、やがて奇怪な形の武器となった。 クレイモアの基本特殊能力のひとつ"生体武器"である。 正人の言い分に、綾は盛大に吹…
「だああああああっ!」 正人が雄叫びをあげるともに、彼の髪が一斉に逆立った。 その現象はすこし離れた位置にいるはずの綾にも起こる。 正人の体から放たれた熱気が、気流を作り出したがために 起こった現象である。 熱気は温度をどんどんと上がっていくの…
(距離約6.5m、悪魔化はなし、特殊能力使用形跡も……なし) 綾は瞬時に周りの状況を把握し、自身の勝利を確信した。 正人にとって、周りが敵ばかりであるこの状況での最適解は、できるだけ早く自分を戦闘不能にすることだ。 正人は綾が悪魔憑きであること…
「永遠の生、ね……。おまえらが言いそうなことだよな」 長い、長い溜め息を吐きながら、正人は憂鬱な様子で片手で頭を抱えた。 「付き合いきれねえ、そろそろ帰らせてもらうぜ」 そして、事もなげに、そう言う。 対する綾の反応は、ずいぶんと静かなものだっ…
「そいつらも人類の進歩とやらに必要なのか?」 「そうです」 今度はいつものように、落ち着いて答えられた。 「人間もか?」 「そうです。構造の違う動物では意味があまりなく、研究も進みません。人類はもっと進歩しなければ生き残ることはできない、と教…
念願のauに変わりました。 ネットは速いし、ニコニコもようつべも見れるし、電波はいいしと、わりといたれりつくせり。 でも、ソフトバンクに比べて不便な部分もあるみたいで……。 コピペ機能が不便だったり、ネットの文章をコピペできなかったり。 中でも…
携帯がぶっ壊れました。 完璧に。 個人認証カードすら壊れては、手に負えないぽ( ・ω・) もういいです、10500円払ってでもAUに変えますわ。 2ヶ月半後にはauに切り換えるのに、修理に出すとかありえん。 ただでさえ、友人とのメールが届かないとか…
あの異動以来、ことあるごとに綾につっかかってくるので、わりとマイペースな彼女でもさすがに閉口している。 聞くところによると、正人にもつっかかっていってるらしく、よく言い合いになっているのが見かけられているようだ。 しかし、たかが身体検査にす…
翌日も、授業を終えてから戦闘テストが行われた。 暴走や反抗を防ぐ意味で、テストを受ける者は必ず持ち物と身体検査を受ける。 「だからって毎回はいらねえと思うけどな」 「きさまのような外部から来る人間も多い。なにかあっては一大事なんだよ。黙って従…
オークションで落札したガンダムウォーのカードと、ベースドブースター2のBOXが届いたので、ここに晒してみます。 ●ガンダム試作2号機 ●リサイクル ●キャスパル・レム・ダイクン ●ロザミィ・パダム ●サイコガンダム ●ドーベンウルフ(スペースウルフ) …
古風な作りをしている部屋で、朱夜がパソコンを操作していた。 その横にはキューもいる。 モニターに写し出されているのは、機材やモニター、装置がところ狭しと置かれた部屋だった。 斜め上から見下ろした視点で映るその部屋の中には、白衣を着た職員らしき…
あまりにあっけない結果に、その戦いを見ていた職員たちは唖然とした。 悪魔憑きとはいえ、変身もせずに倒せるほど弱い相手ではないはずだ。 それを人間のまま、しかも2分ほどで倒せるなど、常識外である。 さしもの白石も動揺が顔に表れている。 「教授」 …