/masa晴読雨読 その13


 今回は片山泰宏著『デモンパラサイトリプレイ 異形たちの街角』です。




 悪魔憑き、ミュータント、AAS、サイボーグとシステムでできるPCタイプ勢揃いの正統派リプレイです。
 なにが正統派って、ちゃんとダークヒーローものになってるんですね。
 これまでのリプレイシリーズは、全裸!焼肉!コメディ!といったいつものSNE節だったんで、ようやく世界観に合った作品が世に出されました。
 本当に長かった……(いちファンの呟き)


 シナリオも連続誘拐事件や謎の魔獣、警察による悪魔憑き狩りなど、ダークヒーローものの名に恥じない後ろ暗く非日常的なもの。
 PCの掛け合いやストーリー進行は定石に乗っ取っていて、とても模範的。
 変な癖もなければ仰々しくもないので、初めて読むリプレイとしてもいいかもしれません。
 所属の違うPC同士が、自身の目的や利害を擦り合わせつつ事件に関わる過程は、群像劇を遊ぶ参考になります。
 特に参考になるのが、企業の工作員PCと警官PCの2人で、部外者と協力する際に「事件解決のため」と折り合いをつけていくところが上手い。
 普通ならば、頑なに部外者を立ち入らせない立場の2人ですが、それぞれ自身の役割や性格を利用し、巧みに妥協点を見つける手腕は見事です。


 派手な物語や奇抜な個性を求める人には物足りないでしょうけど、万人に安心して薦められる良作となっています。
 《デモンパラサイト》をシリアスに遊ぶ際には、ぜひとも読んでおきたい逸品です。