/masa晴読雨読 その10


 くっ……!
 OSR力が制御できない……暴走するのか……!?



 今回は芥川龍之介著「アグニの神」です。
 太平洋戦争開戦前の上海。
 魔法使いの老婆に浚われた娘の妙子と、彼女を探す書生の遠藤が体験した、ある不思議な出来事のお話。


 ジャンルはホラーファンタジー
 絵本のようなシンプルな展開と簡易な文章は取っつきやすく、文学に後込みしてしまう人でもライトノベル感覚で読めると思います。
 敷居の低さもさることながら、様々な要素をまとめた内容の濃さも魅力です。
 悪の魔法使いからの脱出&救出劇。
 インドの神や魔法などのファンタジー要素を基本に、上海に住むインド人の占い師というエキゾチックな雰囲気の演出。
 超自然的現象が起きて、読者にも登場人物にも詳細が分からないまま物語が終わる、ホラー的なエンディング。
 単独でも作品になるそれらの要素が贅沢に盛り込まれたことで、読書家でも満足できる極上のエンターテイメントに仕上がっています。
 しかも短編なので、読むのに必要な時間は10分程度。
 改めて、文豪のすごさを見せつけられました。