/masa晴読雨読 その4

 今回は、ヘミングウェイ著《老人と海》を読了しました。
 サンチャゴ、ジョセフ・ジョースターで脳内再生余裕です。




【あらすじ】
 キューバの老漁師サンチャゴは、長い不漁にもめげずに、今日も海へ。
 そこで出会った巨大なカジキと3日3晩の死闘を繰り広げ、ついに打ち倒すことに成功。
 意気揚々と家路につくサンチャゴであったが、血の匂いを追って、サメが近付いてきていた。
 サメに獲物をかじられ、船もボロボロになるが、無事に帰還するサンチャゴ。
 体力の限界を越えて戦った彼は、自宅のベッドで、アフリカのライオンの夢を見ながら、眠るのであった。


【感想】
 この作品も純文学なのでしょうか?
 《変身》と同様、ひねくれた表現もなく、すっきりと読みやすかったです。
 豪快にして思慮深いサンチャゴのこともさることながら、相手の魚や自然にも人格があるかのように感じとれ、その誰もが魅力的なのです。
 なぜ、魚や自然に人格が見いだせたかというと、徹底した外面の描写にあります。
 サンチャゴの心理描写は最低限にまとめられ、その全てが行動や言動に直結しています。
 そのサンチャゴの描写と同じ密度で、魚や自然も描写されており、そのために魚や自然そのものが登場人物のように感じられるわけです。
 漁などしたことがなく、磯釣りしかしたことのワシでも、さまざまな顔を見せる海の光景を思い浮かべることができました。
 また、サンチャゴの独白や心理描写を通して、自然や生命、生きることはなんなのか、などの問いが読者に投げかけられ、考えさせられます。
 具体的で臨場感あふれる描写、自然と老人との戦いを通して問われるテーマ。
 そのどちらか一方だけでも、この作品を読む価値があるといえましょう。