レレレ『free hole』第13幕


 機内の誰もが驚きで麻痺しているうちに、シンディアは唐突に飛んだ。
 麻痺から回復したアリシアがパラシュートをつけ、シンディアのあとを追う。
 次にガングァン、次に恋人に声をかけてコウが飛んだ。
 その直後、セスナの機体が激しく揺れ、地面への激突コースをとった。
 恐怖にひきずられたフェイロンは、開いたままの搭乗口から滑り落ち、眼下の森に落下。
 木の先が、狙い済ましたように腹部に突き刺さり、彼は一瞬で絶命した。



【一同】:(惜しみない拍手)

【GM】:まさか〈アクロバット〉技能を使ってまで、死に際を演出するとは……グッジョブ!!!

フェイロン】:いやー。



 シンディアを追いかけるアリシア
 落下する彼女を掴もうと、近付き手を伸ばす。
 シンディアもまた、本能でアリシアの手を掴まんと、腕を伸ばした。



【GM】:助けたいなら、〈アクロバット〉技能かな。

アリシア】:(コロコロ)しっぱい……。



 ここで、アリシアは間違いを犯した。
 極限状態の人間は、救助する際に助かろうとして、近くのものにむやみやたらにしがみつく。
 溺れた人を救助しようとしてしがみつかれ、2人とも溺れるのによく似ている。
 今回の場合も、そうした例に漏れず……。
 暴れるシンディアによって、パラシュートのバランスが崩れ、真下の着地点まで急降下。
 地面の灰色と血の赤で彩られた、一枚の絵画と化した。



【ガングァン】:その光景に思わず笑みが漏れる。
「くっくっく……」

【菊善光(コウ)】:「どうして……笑って、いるの?」

【ガングァン】:「くっくっく……はーはっはっはっは!! ……見られたか、死ね」
(コウのパラシュートに向けて銃を構える)パーン!(一同爆笑)

【菊善光(コウ)】:えー、黒幕そっちやったんか(笑)

【GM】:OK、銃の所持を許可するよ!