レレレ『free hole』第6幕
【フェイロン】:「いや、なんでもない」
やがて搭乗口が開かれた。
悪い夢なのだと納得していても、体は恐怖に震えだす。
いままでは嫌な気分を打ち捨てる場所に過ぎなかった空が、今は悪魔の顋のように思える。
【アリシア】:「どうしたのよ、シンディー。さ、飛びましょ!」
【シンディア】:「え、ええ」
【アリシア】:「そんなに心配? ほら、手を握っててあげるから」
【シンディア】:そこまでされたら、しょうがないから飛ぶわ。
【ガングァン】:「どうした、チャイニーズ? 飛ばないのか?」
【菊善光(コウ)】:「やりかた分からない。教えてよフェイロン」
【フェイロン】:「あ、ああ、そうだな」
コウと一緒に飛ぶ。
【ガングァン】:最後に俺が飛ぼう。
ニヤリ。
飛び出した4人を見下ろしながら、男は愉快そうに口の端をつり上げた。
【GM】:では、2回目のダイビング。〈パラシュート〉技能で振ってもらおうか。
今回は、シンディアやフェイロンなど4人が成功。
失敗したのは、アリシア1人。
【GM】:失敗したアリシアだけど、体を固定するためのベスト……ハーネスに妙な感覚がある。
【アリシア】:「?」
【GM】:突然バチンという音とともに、体の右側を固定していたハーネスが外れる。ずりずりと次第に固定が外れていき、そして、アリシアの体は完全にハーネスから離れた。
【アリシア】:「いやあああああああ!!」
【シンディア】:「アリシアアアアアアアア!!」
【アリシア】:「シンディイイイイイイイ!?」
着地地点に降り立つ4人。
人の形を留めていないアリシア。
彼女を抱き抱えようとするシンディアの周りを、茫然と取り囲む3人。
そこにロイのセスナが……。