ヒトモドキ 本編6


 「――例の3人が研究所内に侵入した。これより待機を解除、プランAを開始する」




【GM】:打ち合わせ通り、ショウコたちは屋敷の前で合流しました。
 研究所は、郊外に建てられた洋館を改築したもののようです。
 周りに家や人はなく、完全に孤立した形になっていて、なにかあったとしても人に気付かれることはないでしょう。


【ショウコ】:時間かけてられないから、チャキチャキ入りますよ。


【GM】:鍵がかかってます。


【まほ子】:技能持ってますし、わたしが開けましょう。
 (ころころ)……振り直して17でどうでしょう?


【GM】:それはさすがに開きました。
 屋敷をざっと見回すと、普通の家屋です。
 しばらく前から人が住んでないように見受けられます。
 かなり部屋も散らかってますね。


【まほ子】:足跡のようなものはありますか?
 もしくは、散らかしているのか荒らされているのか、分かります?


【GM】:目標値16の〈探索〉判定を。


【まほ子】:(ころころ)……振り直して、成功しました!


【GM】:毎日清掃しているまほ子の見たてでは、床についているホコリが部屋の荒れ方にくらべて少な過ぎます。
 部屋も荒れたのではなく、荒らされたに近いです。
 数人が何度も何度も何かを探していた、それが結論ですね。


義経】:やはり、その依頼人とやらが関わっているようだな。


【ショウコ】:研究所を探そう。
 ここに違いないんだから!


義経】:そうだな、私も探そう。
 隠し部屋か通路があるはずだ。


【GM】:〈探索〉で判定をどうぞ。
 目標値は秘密です。


【ショウコ】:(ころころ)……2回振り直しの、20!


義経】:(ころころ)……こちらも2回振り直して、23だ!


【GM】:みなさんの見たて通り、地下に続く階段が見つかりました。


【ショウコ】:もちろん降りる。


【GM】:階段を経由して、研究所らしき場所へと踏み込むショウコたち。
 1部屋目は書斎です。
 奥に扉があり、壁は本棚で見えません。
その本棚全てが、学術書や専門的な資料で埋まっています。


義経】:これは……すさまじいな。


【GM】:使い込まれてボロボロになった本の中で、唯一しっかりとしている本が目につきます。


【ショウコ】:ううん、手掛かりかもしれないし、パラパラ読むよ。


【GM】:この屋敷の主が書いたであろう、日記形式の研究記録が記されています。
 そこには、人造生命の研究をしていたこと。
 資金欲しさに企業の指示に従い、3人の生物兵器を造ってしまったこと。
 その3人とは、近接戦闘特化のエル、遠距離戦闘特化のエム、そして探索や調査に特化したエス
 やがて3人に親子ほどの愛情が芽生えた研究者は、3人を逃がし人として生きていかせようとしたこと。
 そんな内容が記されていました。


義経】:金欲しさに造った兵器に、家族愛か……。


【ショウコ】:……よく分からないかな。


【まほ子】:どっちにもなりきれなかったのでしょう。
 人間にも研究者にも。
 その果てが今なんでしょうね……。