誰がための命 本編4
山に向かう途中で、鈴巻家に連絡をする義経たち。
悪い予感は当たり、千春がいないという。
胸騒ぎを覚えながらも、目的の山へと辿り着いた。
【GM】:山の入口に到着しました。
入口といっても、10年ほど人間の手が加わってないので、獣道くらいしか見えませんが。
【鉄子先生】:とりあえずは頂上を目指しましょうか。
犬神が人間を寄せ付けないなら、人里から一番離れたところに住んでいるはずよ。
【信衛門】:時間が惜しい、飛ばしていくか。
【優】:そうね。
【義経】:最短距離を突っ切る、か。
無茶と言いたいが、そうも言ってられんな……。
【GM】:あってないような山道を進むきみたち一行。
1時間ほど登った頃、信衛門や鉄子の前に現われた男が姿を見せた!
【信衛門】:出たな!?
【鉄子先生】:「あんた、何者? 千春を狙ってるの!?」
【GM/伝言者】:「ワタシの名は『伝言者』。長の言葉を皆に伝えるが役目。この山は人間の来るところにあらず。何用か?」
【義経】:伝承は本当だったか。
「市内で犬が大量に姿を見せている。そのことと、鈴巻姉妹について長と話がしたい」
【GM/伝言者】:「多少の事情はお知りのようだ。断れば?」
【信衛門】:「お前たちの言葉でいうなら、同族の仲間の命がかかっている。事態を打開できなければ、手段は選べないな」
【GM/伝言者】:「我らと戦うと?」
【優】:「ソッチが手荒いことしなけりゃ、こっちも危害は加えない。ただ、直接話をさせてよ。事情によっては、ソッチに協力もできるかもしれないから」
【義経】:「彼女のいうように我々は手荒な真似はしない。するつもりなら、今襲いかかっている」
【GM/伝言者】:「……いいでしょう。伝言者の名にかけて、長との面会を許可します。長は人間とは力も思慮も違う偉大な方だ。くれぐれも粗相のないよう」
【鉄子先生】:「分かったわ、早く案内してちょうだい」
【GM】:その時、山の頂上から複数の犬の遠吠えが。
【優】:遠吠え?
【鉄子】:〈音声変化〉で、その遠吠えがどんな意味なのか、翻訳したい。
【GM】:OK、意味は……「あの娘を見つけたぞ、長のところに連れていけ」だ。
【一同】:!?
【GM/伝言者】:「こちらです……どうしました?」
【義経】:「遠吠えがするようだが、お前たちの仲間か?」
【GM/伝言者】:「それがなにか?」
【義経】:「差し支えなければ、内容を教えてくれないか?」
【GM/伝言者】:「それは無理な相談です。が、あなたたちにとって都合の悪いことではありません。安心してください」
【義経】:く……。
【GM】:もう何も言わないなら、伝言者は無表情を保ったまま、一行を頂上まで案内する。
そこには長とおぼしき3本角の犬と……ぐったりとした千春がいました。
【一同】:なにぃ!?