「ヒトモドキ」クライマックス3ー1〜チエ


第2池袋ビルにて/全員登場


【GM】:ではクライマックス最後のシーン、いきましょう。ビルに着きましたよ。
【チエ】:探す!由衣ちゃんを探すよ!ビルに入る!
【丈二】:また無茶を…後を追います。
【正】:俺も。
【牙行】:オレはエスを守りながら行こう。
【GM】:では由衣を探して、アナタたちは1階、2階、3階と上って行きます。ビルの内部は骨組みや基礎があるだけで、がらんどうとした広い空間になっています。
そして5階に上がろうとした時、激しい音と声が聞こえます。
【牙行】:音と声?
【GM】:なにかで肉や骨を断ち切ったような音、それに機関銃でも連射しているような銃声、血飛沫の出る音。
【正】:げ…
【GM】:獣のような咆哮と、複数人が指示を出し合っているような怒声、悪態、罵詈雑言、そして悲鳴。
【チエ】:いったい、なに!?
【GM】:…やがて、5階にたどり着いたアナタたちは目にします。
5階という空間いっぱいに撒き散らかされた、大量の血と死体を。死体は全てMMMの隊員で、怪力で断ち切られたりしたらしく、五体満足に残っているものは1人もいません。
空間の中央にエルとエムが立っており、その前には由衣とおやっさんが倒れています。どうやら気絶しているようです。エルとエムは倒れている2人に向かって手を伸ばさんと…
【チエ】:叫ぶよ!「やあめえろおおぉぉぉっ!!!」
【GM】:チエの声にエルとエムは素早く振り返ります。
【エル】:「誰だ!?」
【エム】:「邪魔するんじゃないよ!」
【牙行】:「オマエラ、おやっさん食うな!」
エス】:「エル!エム!ダメだよ、人間食べたらダメ!」
【エル】:「何を言っている、エス!博士の最後の言葉を忘れたのか?」
【エム】:「そうだよ、人間を食うことこそ、人間になる最良の方法じゃないか!見てごらん、そのおかげでアタシたちはこんなに人間に近付いたじゃないか!」
【正】:「姿だけマネても意味ないさね、その考え自体、化け物の考えさ。」
【エル】:「人間など信用できるか!博士を殺し、我々を見れば恐れて逃げ出す!」
【牙行】:「オレたち、人間違う。オレたち、半魔だ。人間として暮らしてる。」
【エム】:「ハンマ?…化け物から人間になったってことかい?」
【エル】:「なら教えてくれ、オマエたちは人間を何人食って、人間になった?」
【牙行】:「1人も食ってない、オマエたち、間違ってる。」
【エル】:「そんなことはない!人間を食ったから、人間の姿になれたのだ!オレたちは間違っていない!」
【正】:…ちょっとタンマ。みんな、しばらくPL会議しない?
【GM】:あー…ええ、どうぞ。
【PL一同】:…賛成。
【チエPL】:そういえば丈二は、さっきから説得に参加してないみたいだけど…
【丈二PL】:うーん、丈二としては刑事として、彼らを逮捕なり退治しなければいけないんですよ。ただ彼らが人間になろうとしているのは半魔である丈二も理解できますし、説得しようとするみなさんの気持ちも分かるんです。ですから、これ以上被害者が出ないように説得できれば、見逃すこともできるんですよ。
限界まで譲歩して、中立…積極的に説得はしないという立場を丈二はとりたいわけです。
【PL一同】:うーん…(必死に考えている)
【チエPL】:…じゃ、とりあえずMMMの死体食べさせるとか?
【正PL】:何人食えば、人間になれるか分かんないだから、ギャンブルだねぇ。全員食ったけど足りませんでした、なんてのが一番最悪だ。それに人間食うことを止めないと、どの道まずいだろ、人間として生活する時に。
【PL一同】:うう…む(必死に考えている)
【牙行PL】:…この問答、すでに詰んでいると思うが。
【チエPL】:というと…?
【牙行PL】:彼らはすでに「人間を食うことで姿だけとはいえ、人間に近付いた」ことを成功した経験として認識してしまっている。
【GM】:………。
【牙行PL】:さらにMMMに博士を殺されたこと、彼らの姿を見た人間に迫害されたことで、人間不信になってしまっている。
【PL一同】:………。
【牙行PL】:…もっと言えば、オレたち自体が人間と魔物、そして半魔の違いを理論的に説明できない。
由衣と交流のあったエスならともかく、エルとエムには博士しか大切な人、“絆”がないからな。エルとエムが、他者を大切と思えるかどうかはわからん…。
【PL一同】:うぅ………(悩む)




このあと、20分ほどPL間の激論とエル・エムの説得を繰り返すも…。
状況はイタズラに膠着するだけだった。