最終回・愚鈍な自動人形2
私が物心ついた時。
すでに母はいなかった。
父と慎ましく暮らしていたけれど、村の人は私を魔女と罵しり、冷たくした。
友達なんかいなかった。
あの子以外には…。
でも。
村に疫病が流行ったあの時に、あの子は…。
〜シナリオ本編〜
●シンジが朝の街に消えてしばらくのあと。
部屋に立ち尽くしていたエレナは、意識を取り戻し追いかけようとして、玄関にいた少女にぶつかった。
シンジの幼馴染み、〔鳥居 明美〕だ。
【明美(NPC)】:どうしたの、エレナちゃん?シンちゃんは?
【エレナ】:それが…、シンジが突然出て行っちゃって…
エレナは明美に、それだけを説明した。
実際、それ以上は知らないし、説明もできなかったから。
明美は悪魔憑きではないし、シンジとのことも話したくはなかったからでもある。
【明美】:わかった、手分けして捜そう。制服着てたなら学校かもしれないし…学校はあたしが捜すよ。
【エレナ】:…なら私は、学校以外を調べてみる。
【明美】:うん、先生にはあたしから言っとくから。
●明美と別れたエレナは、シルバとジョジョと合流してからセラフィム事務所に向かう。
シンジの捜索に悪魔憑き側から協力してもらうためだ。
ここにいる者は事情を知っている者たちばかり。
今度は全てを説明する。
【高坂(NPC)】:まいりましたね…。
【ジョジョ】:早めに見つけないと、なにかしでかしてからじゃ遅いぞ。
【シルバ】:大した事はできんだろうがな。…まったく世話が焼けるヤツだ。
【高坂】:分かりました、手配しましょう。
こうして手近な悪魔憑きたちによって、シンジに関する情報網が敷かれる。
エレナたちも、シンジの姿を追い、繁華街へと向かった。
●駅から見て南側の繁華街。
昼過ぎまで情報収集に明け暮れたエレナたちだったが、足取りが掴めず、なかなか進展しない。
【エレナ】:早く、早くシンジを見つけないと…!
【シルバ】:行きそうな場所は回ったはずだがな……(通行人に写真を見せて)こういうヤツを見ていないか?
【チンピラたち(NPC)】:ああ?オッサン、あのガキの仲間かよ!?
蛇の道は蛇。
仲間がやられた、と絡んで来たチンピラたちから情報を聞き出すシルバ。
それによればチンピラたちは、シンジから金を巻き上げようとして、返り討ちにあったとのこと。
その後、仕返しのために仲間を募って捜していたという。
やられた者によれば、シンジらしき少年は北東に向かったという。
【ジョジョ】:北東?その方角になにかあったか?
【シルバ】:ある。(エレナに)ヤツはたしかに「ミレイをつくる」と言ったんだな?感触が知りたいと。
【エレナ】:え?…ええ。
【シルバ】:ならあるだろう、モデルになりそうな、年頃の女がいる場所が…。
【エレナ】:…!
【ジョジョ】:清涼学園か!
こうしているうちにも、シンジが学園に行っているかもしれない。
エレナたちは急いで清涼学園へと向かった。
●清涼学園、理事長室。
まほ子の主人たる理事長は自身の椅子に座り、電話を受けていた。
【理事長(NPC)】:…わかりました、こちらでもあたってみます。
【理事長】:(電話を終えて)まほ子、セラフィムから通達がありました。
〔安野シンジ〕という少年を見掛けたら保護し、セラフィムに知らせてほしい、との内容です。
【まほ子】:はい、わかりました。必ず保護してみせます!
【理事長】:ありがとう、まほ子。わたしも情報網をあたります。
悪魔憑きが失踪というのは穏やかではありません。できるだけのことは尽くしましょう。
【まほ子】:はい!
こうして、まほ子もシンジ捜索にのりだした。
(続く)