ヒトモドキその5

●そこには2人。
2人しかいなかった。
世界の真実を知らずに生きてきた少女と、そんな人々を守るために戦いに身を投じた少女と。
変身を解き、紅蓮の魔神から少女に戻る。
少女の体は至る所が傷つき、血が滲んでいた。
しばらくの沈黙の後、ショウコは由衣に語りかける。
どこかぎこちなく、不自然に明るく。


【ショウコ】:…ま、これがあたしのもう1つの姿ってわけ。…怖かったでしょ?
【由衣(NPC)】:うん…怖い。
【ショウコ】:でしょ?あたしでも、さすがにゲッて思っちゃうもん!そりゃあ…
【由衣】:…でも、怖くない。


そう言うと、由衣は制服のポケットからハンカチを出し、まだ出血を続けているショウコの傷口をそっと拭いた。


【ショウコ】:由衣、ちゃん。
【由衣】:ありがとう…ショウコ、ちゃん。




●廃ビルを出たショウコたちはセラフィムに後処理を頼んだ。
その時に問題になったのは、エスたち3人の処分と、由衣の記憶を消すかどうか。
答えが出るまで、しばしの話し合いを必要とした。
その結果、


エスたち3人には、人としての規範を教え、自分たちの罪を理解させた上で、遺族に謝罪などの罰を与える。
その後に人間社会での生活に適応させる。
∴由衣の記憶は消しも操作もせず、そのままにする。


ことでまとまった。


義経】:しかし、分かっているのか、清掃員。彼らにとっては、最も過酷な道だ。ここで死んだほうがまだ楽かもしれない。
【まほ子】:そうですね。…でも、それでも彼らが望む道、でしょうから。
義経】:ショウコもショウコだ。記憶の操作もしないとは…
【ショウコ】:大丈夫だよ、あたし由衣を信じてるもん。
【由衣】:誰にも言いません、絶対に。
義経】:そういうことではなく、だな…
【ショウコ】:それに!由衣は傷つけさせない!あたしが必ず守るっ!!
義経】:ふう(軽く息をはいた後、穏やかな微笑みを浮かべ)、そこまで言うなら私は反対しない。ショウコたちに任せよう。
【桐生 蓮(NPC)】:それでは、そのように処理しておきます。お疲れ様でした。


エスたちをめぐる、この事件はこうして解決を見た。
1人の少女と、生まれて間もない3人に、少なくない影響を与えながら…。




〜ワシの感想〜
…長っ!
書き終わるまでの時間も、レポートの内容も。
久々に4日を超えたよ。
削ってこれなら、フルでリプレイにしたら、いったい何日分になるんだ!?


今回のシナリオですが、BBNTでやったシナリオのコンバートです。
『セッション昔話』というタイトルで、「TRPG〜プレイレポート〜」のカテゴリに前のプレイレポートが載ってます。
いや、PL次第で真実にたどり着くまでのルートが全然違うなぁ。
…それはこのシナリオにはささいな違いでしかないけど。
このシナリオの根本は「人間をどう定義するか」なので(もちろん、そのセッションの中では、の話。一般論にまで発展すると収集つかないだろうし)。
とにもかくにも楽しんでもらえたみたいで、GMとしても嬉しい限りです。