ヒトモドキその4

エス、エム、エルの3人と合流したショウコたちは、由衣をさらった部隊からの連絡を受け、今後の行動を模索していた。
結果。


【ショウコ】:罠かもしれないけど、行くしかないよ。


【まほ子】:(エスの前にかがんで目線を合わせる)私たちはこれから由衣さんを助けに行きます。
エスちゃんも来ますか?
エスNPC)】:行く。
【まほ子】:罠かもしれません、それでも行きますか?
エス】:由衣お姉ちゃんを…助けたい!


まほ子はショウコたちの方を振り返った。
ショウコは力強く、義経は僅かに優しく、うなづいた。
エルとエムも同行を申し出る。
「博士を殺したやつらを許しておけない」から。
かくして、ショウコたちは誰1人欠けることなく、廃ビルへと向かった。




〜クライマックス〜
人々が気にも止めない、打ち捨てられた廃ビルに。
ショウコたちと悪魔憑き捕獲部隊の隊長が、一定の距離を保ちながら向き合っていた。
隊長は由衣を拘束しており、それがショウコたちとの緊張を強いものにしていた。


【隊長(NPC)】:来ていただけたようですね。
義経】:連れて来たぞ、早く片桐を返してもらおう。
【隊長】:それは同時に…
義経】:約束を違えるのか?
【隊長】:…賢いお嬢さんだ。


そう言うと、隊長は不意に由衣の拘束を解いた。
すぐさま由衣に駆け寄るショウコ。
義経たちの所に戻りながら、隊長を睨み付ける。
隊長はその眼光を真正面から涼しい顔で受け止め、言葉を続けた。


【隊長】:さあ、その3人をこちらに渡してもらいましょう。
義経】:知らんな。我々の約束は“連れて来る”だ。その後はお前たちがすればいい。
【隊長】:これは本当に賢いお嬢さんだ。
…ならば、無事に貴方方を帰すかどうかも…分かりますね?
義経】:そんなところか。やれやれ、古典的だな。
【ショウコ】:上等っ!アンタはボコボコにしてやるから!!


ショウコが啖呵をきった直後、隠れていたらしい捕獲部隊たちが一斉に姿を表す。
隊長の後ろからは、ガトリングを両手に持った男など、特に屈強そうな者たちが現れた。


【隊長】:それがお望みなら、この部隊を全滅させることですね。
【ガトリング男(NPC)】:やぁぁっと出番かああぁ…てめぇらまとめて蜂の巣だああぁ!?


周りの部隊はエルとエムに任せ、ショウコたちはガトリング男たちのチームに集中、戦闘態勢をとる。
ただ1言、由衣と言葉を交わして。


【ショウコ】:これから由衣にはショックなことが起こるかもしれない。けど、あたしはあたしだから。それだけは信じて。
【由衣(NPC)】:……あ。


由衣の前で紅蓮の魔神に、氷鎧の騎士に変身するショウコたち。
怒りと決意と悲しみと。
様々な思いを込めた戦い。
それは凄絶ながらも、見ている者にどこか美しさすらも感じさせたのかもしれない。
戦いはやがて、ショウコたちの勝利によって幕を閉じる。




〜エンディング〜
戦いの後。
ショウコは予告通り、隊長をぶん殴った。
死なない程度に、しかし何度も。
姿は紅蓮の魔神のまま。だが、全身は先の戦いで満身創痍といえるほどにボロボロになっていた。
それを見ている由衣に義経が静かに語りかける。


義経】:驚いただろう、ショウコは今まであの姿と力で影ながら戦ってきた。
【由衣】:………。
義経】:人にあるまじき姿と力だ。私自身もそう思う。だが、これだけは忘れないで欲しい。
【由衣】:………。
義経】:どんな姿に変わろうと、力を振るおうと、ショウコはいつだってショウコだった。それは今までも、そして今も、これからも変わらない。
…それだけは、ショウコのためにも、分かってくれ。
【由衣】:………。


しばらくして、ショウコは隊長が気絶したのを確認してから、由衣の元へ戻った。
なにかを察したのか、義経たちは先に階段を下りていた。
2人。
先ほどまで多くの者が混在し、戦いを繰り広げた、その場所には。
ショウコと由衣の、2人だけが存在していた。




(続く)