“ヒトモドキ”の裏話

日が空いてしまったが。
書きたくなったので、セッション昔話での「ヒトモドキ」についての話を少し。
当時のワシはコンベンションでしかTRPGを遊べず、ましてやGMはほぼやった事がなかった。
そんな状態でGMをやろうと思い立った、最大の理由は、千之ナイフというマンガ家が書いた「ヒトモドキ」を読んだからだ。
話の大筋はセッションでやったのとだいたい同じ。
ただし、チエたちPCがおらず、由衣と3匹の魔物による話だったが。
ついでに言うと、企業や博士、MMMも出てこない。
そこらへんはシナリオをつくる上で足していった要素である。
「ヒトモドキ」を初めて読んだ時から、「これはビーストバインドのシナリオとして使える!」と確信していた。
「絶対に面白い!」とも。


人間になろうとする、人でも魔物でもない、エル・エム・エス3体の半魔。
エルとエムは魔物に、エスは人間に近付いていく。
なぜ、エスは人間に近付いたのか。
なぜ、エルとエムは魔物に近付いてしまったのか。
人間と魔物、そしてPCたち半魔の違いはどこにあるのか。
そういう《ビーストバインド》のテーマの根幹に関わる、重厚なシナリオだったのだが。
結果的にPLを楽しませられたかどうか。
不安と課題が山積みなセッションになってしまったわけで。
GMとしての未熟さも、それを増幅する形になったし。
例えばエルとエムに対してのPCの態度について。
ワシが想定していたのは、「エルやエムに同情しながらも倒す」というものだけだった。
ところが、PCたちはなんとかエルとエムを説得しようとした。
「MMMだけなら食わせてもいいのでは」といった、ワシからすれば行き過ぎた譲歩や提案すら出た。
その真剣さに感化されたのか、単にパニックになっていただけなのか。
ワシはエルとエムの心理や状況を考えながら、説得に応じなかった。
人間を食って、実際に人間に(姿だけは)近付いたこと。
MMMに追われ、人間不審に陥っていたこと。
博士を実の親のように慕い、博士の言葉を病的なまでに守ろうとしていたこと。
これらの要素を考えていくと、説得に応じる理由がなくなってしまっていたのだ。
「ラストは戦闘」と膠着した頭でいたのも、交渉の不成立に拍車をかけていた。
今も思う。
あの時、説得に応じていれば、もっとPLを楽しませられたかも知れないと。
自分の未熟さが悔やまれるばかりである。
もっとうまい方法があったんじゃないかと。


その反省もあって、このシナリオは改良されたのだが。
またやる機会はあるのだろうか?
もし今度やれるのら、今度こそは、満足のいくものにしたいと思う。
このシナリオでの問い掛け。
「半魔ってなに?人や魔物とどこが違うの?」
今度卓を囲む人は、どんな答えを出すのだろうか。
不安でもあり、楽しみでもあり…。