デモンパラサイト〜誰がための命3

●事件解明のために街近くの山へと向かった一行。
そこで学校にも現われた男、“伝言者”と再会。
伝説にも登場する犬神、〔長〕との面会を希望した一行を頂上へと案内する。
そして頂上に着いた一行に戦慄が走った。




●頂上には長と、ぐったりとした千春がいた。
説明を求める一行に、長はゆっくりと語り出した…。


千春と小春の姉妹が5才の時、この山で遭難した。
千春が見つけた花畑へ行こうとして足を滑らせ、坂を落ちてしまったのだ。
さらに悪い事に小春の打ち所が悪く、今にも死を向かえようとしていた。
偶然にも、そこに長がいた。
千春は小春を助けてくれるよう懇願した。
せめて、あと10年。
10年だけ命を与えてほしい、と。
住家を荒らす人間に憎しみすら覚えていた長だったが、千春の妹を想う心に打たれ、契約を交わした。
10年間だけ悪魔寄生体を小春に与え、生かそうと。
その悪魔寄生体は非常に強力な再生能力のみを持ち、小春の病気の進行を止めながら、日常生活ができるほどまで回復させていたのである。
が、その悪魔寄生体ですら病気の進行を止めるだけで、治すことはできない。
つまり今、小春から悪魔寄生体を取り出せば、死ぬのである。


語り終えた長は、さらに付け加えた。
明日がその10年目だと。




●なんとか小春を助けられないかと交渉する一行。
しかし、契約は正当なもので覆せるものではなかったため、交渉は平行線のままで進まなかった。


【信衛門】:小春に悪魔寄生体を与えたままでも、あなたには影響がないのだろう?なら、なぜ回収にこだわるんだ?
【長】:…力を取り戻す必要があるからだ。


一行は思い出す。
犬神の住家でもある、この山が大友製薬のリゾート開発の対象になっていることを。
その規模が巨大であることも。


【長】:この山に近付く人間どもを、駆逐できるだけの力が必要なのだ。強い悪魔寄生体を吸収して、力を蓄えねばならん。
【長】:小春という娘の寄生体の代わりに、誰でもよい、最低でもお前たち以上の強さの寄生体を吸収させるのなら、助けても構わん。
【一行】:………(悩む)




(続く)