《ガンダム00セカンドシーズン》


 前シーズンよりずいぶん間が空いてから、全話観終わりました。
 わりとお上品だった前シーズンに比べ、「顔が歪まないキャラがいない」といえるくらい、ほぼ全てのキャラが負の感情を面に出しています。
 前シーズンまでがキャラとしての描写だったとすれば、今シーズンは人間としての描写がされていました。
 結果、〇〇萌えー♪などと単純なことはいえなくなっています。


 全体的に、作品のテーマや主人公側の覚悟といったものが全面に押し出され、目的のために手が汚れることも辞さない、という意志が画面から伝わってきます。
 それはサジ・クロスロードの描きかたにも表れていました。
 彼は終始思い悩み、日和見や個人的感情に走っては状況を悪化させるという、典型的な困った一般人として扱われています。
 個人的に、サジ・クロスロードは《ガンダムSEED》の主人公格(キラ・アスランラクス)と同じ傾向の人間であるように、ワシは感じました。
 そんなサジが、優柔不断の日和見主義として描かれているところを見ると、製作者側としては
「本気で世界を変えたいなら、自分の手を汚すくらいの覚悟は決めろ。それが嫌なら手を汚さずに済む方法を考えろ、今すぐ!」
と言いたいのではないかと、勝手な推察をしてしまいます。


 そんなサジ・クロスロードに匹敵するくらい録な目にあってないのは、ヒロインであるマリナ姫。
 劇中でも終始「考えが甘い」「守るための戦いすらしないのか」「歌なんか歌って何の意味がある」とフルボッコにされています。
 最終的には、マリナ姫の歌は、平和を望む人々の手によって世界中に拡散していくのですが。


 最終回以後も、ソレスタル・ビーイングは存在し、現行の秩序を保とうとする地球連合、間違った秩序を武力で正そうとするソレスタル・ビーイング、平和な世界を人類の良心と対話によって構築しようとするマリナ姫たち一般人の3つどもえの構図が出来上がります。
 この3つの勢力のどれもが必要である、という製作者の主張が見えてきますし、事実それは正しいとワシも思います。


 ガンダム00は、エンターテイメントだけに拘らず、戦争の根絶というテーマを真正面から描いた、骨太の作品といえるでしょう。